高野真之『クロノスヘイズ』
高野真之のリブート版「クロノスヘイズ」、残念ながら今のところおもしろくない。
理由は簡単。急ぎすぎているのだ。電撃コミック版2冊のエピソードをほぼ一冊に収録しているからだ。
クロノスヘイズ (1) (Dengeki comics EX)
- 作者: 高野真之
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2001/12
- メディア: コミック
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クロノスヘイズ (2) (Dengeki comics EX)
- 作者: 高野真之
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2003/02
- メディア: コミック
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2冊に収められたエピソードを1冊にまとめれば、それはもう展開が早くなる。物語の重要な部分しか描写せざる得なくなる。その結果、SF作品における「答え合わせ」の部分が前面に押し出され、SF枠組みの中でうごく人間の様子、そしてそれとは無関係の日常が描きにくくなる。ただそれは最近の「BLOOD ALONE」でもその傾向が顕著なことから、要は今、高野真之が描きたいことは日常ではなくSFそのものなのだろう。
しかし異常な世界の下に存在するささやか日常、学生生活、そして恋。そのようなものをあたたかく描く事こそが高野真之の得意とするところであり、「BLOOD ALONE」前半の人気の理由ではなかっただろうか。そのようなものはすでに失われてしまったのだろうか。