シム・ソンボ『海にかかる霧』

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久しぶりの更新。忙しかったりいろいろあって5月はずっと死んでいた。でも元気になってきた。これを観に行った時がちょうどひと月ぶりの映画館だった。

2001年に実際にあった出来事を題材にした物語。あまり景気の良くない漁村の漁師が危ない仕事に手を出すという話。前半は確かに現実は決して明るいわけではないけど、乗務員の性格からそれを感じないのほほんとした旅路。ところが後半、ある出来事を境に修羅場に……。

映画としてはおもしろかった。船の造形が良かった。言ってしまえばボロい船なのだが、なかなか雰囲気を出している。そして個性的な面々の俳優たち。それらの要素だけを楽しめたら本当にすごく良かったのだが……。やはり後半が壮絶すぎた。あまりにひどすぎて信じたくないほど。人は狂ってしまう。どんなに良い人であろうと。

少し前に2003年の「オールド・ボーイ」を見て「韓国映画すごい!」といまさら思ったけど、韓国映画はやっぱり凄いと思う。今の日本映画と比較した上でどの程度凄いのかはわからないのだが、この映画を見ている最中に少し前に観た「私の男」や「そこのみにて光輝く」を思い出した。それらの映画と比べると「貧困を描くこと」「追い詰められた人間を描くこと」上で今の日本映画はやっぱり歪だと思う。

映画館ではどうも韓流スターが出演していたみたいで、きれいなお姉さんから中年の女性くらいの人がやたら多かったけど、あんなものを見せられることは知っていたのだろうか。