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樋口真嗣『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

映画

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ネットにおける炎上案件として認知されている映画版「進撃の巨人」だが、個人的にはものすごく楽しかった。邦画の中では年間ベスト級に最高の映画だと思う。映画ファンの中では「怒りのデスロード」が異常なまでに支持されているが、個人的には断然こちらを推したい。それくらい最高だった。

あまり言及されていないのだが、映画としてしっかり作られた。壁の中の街並みの造り込みはここ数年の邦画の中でも圧倒的で、ハリウッドの大作にも引けをとらない。当然CGも使われているのだろうが、「CGだから不自然」と思うことはなかった。

巨人がよくできていた。大きくてのろまだが、表情に欠けていて不気味な動きをする。まさに原作の巨人そのものだった。CGと特撮の違いがあるため比較としてはふさわしくないかもしれないが、ピーター・ジャクソンの「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムを思い出した。巨人を見て「白ける」ではなく「普通に気色悪い」という反応に持っていける水準に達していたと思う。

そして原作との違いだが、個人的には違和感はなかった。登場人物の性格、名前、その他日本を舞台にするなど様々な変更があったが、原作に思い入れがなかったせいか問題なく入ることができた。その辺は原作に対する距離感によって違うと思う。

そしてなにより個人的に最高だと思えたのは、結局はこれが実写版「エヴァンゲリオン」だと確信できたからだ。作り手は庵野秀明の盟友の樋口真嗣で、おまけに音楽は鷺巣詩郎だ。本編には参加していないが、予告編のナレーションも林原めぐみだった。おまけにデザインワークスとして貞本義行が参加している。わかる人には届くように匂いを散りばめているのだろう。

実際、庵野秀明も「進撃の巨人」に近い続編のプロットを書いたという。

「人類がほとんど滅んでいて、壁と外の世界をつなぐ橋で守られているという設定。そこに使徒がやって来て、TVではできなかった“人を食べる”というもので、対抗できるのはエヴァだけという話でした。初めて『進撃の巨人』を読んだ時は『うわっ、そっくり!』と思った」

庵野秀明、幻の企画と「進撃の巨人」設定が「そっくり!」でビックリ | シネマカフェ cinemacafe.net

もちろんこれは偶然にすぎないが、樋口真嗣はおそらくどこかで「エヴァ」と「進撃」を繋げようとしているのではないか。ネタバレになるので伏せるが、この前編のラストで迎えられる結末は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に近いものだった。

また、これはさすがにこじつけにすぎないが、映画オリジナルキャラクターであるヒアナ(水崎綾女)が、エヴァのTVシリーズ後半のミサトの役割を担っていた。戦時において生きるために人は人を求めるすさまじいシーンだった。あの辺りは町山さんが書いたのだろうか。あそこも賛否が分かれる場面だと思うのだが、個人的には断固支持したい。