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柴崎ショージ『とくべつな毎日』

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柴崎ショージの『とくべつな毎日』を読んだ。

そこそこエロマンガを読む人なら誰もが御存知の通り、茜新社からは「COMIC LO」という絶大な支持を誇るエロマンガ誌がある。名前の通り、ロリータ、つまり女子小学生や中学生を題材とした作品が並ぶ雑誌だ。もうこの時点で受け付けない人もいるだろうし、個人的にもそれほど好きでもないのだが(年上好きだし)、表紙に裸体等が描かれることはなく、ごく当たり前の少女の日常が描かれていて(川遊びとか学校の運動会とか)、一見するとエロマンガ誌だとは思えない。また雑誌の至る所には児童ポルノに対する注意があり、明確に虚構と現実の一線は画すように作られている。そのためウィットに溢れた雑誌として定評がある。

そしてその『COMIC LO』にはそこから派生した『COMIC 高』と言う女子高生を中心に扱った派生雑誌が存在する。そして柴崎ショージはその雑誌の中心的な書き手だ。

『COMIC 高』に掲載された7篇の短編が収録されていて、そのどれもがごくありきたりの、それこそ現実にもいるような(リア充と呼ばれるような)高校生カップルが登場する。エロマンガ的なアブノーマルな展開はない。純愛、と言うと清らかすぎるが、本当に素朴な高校生の日常が描かれているのだが、逆に言うとそれが雑誌に掲載され、単行本になってしまうほど画力が高いのだ。(それゆえに抜けないと巷では言われている)。

そのような作家に前例がいなかったわけではない(むしろたくさんいる)。ではなぜこの作家が優れているのかというと、これは推測だが、あまりエロシーンを切り札として使っていないからだと思う。極論かも知れないが、エロマンガにおけるセックスとは少年マンガにおけるアクションみたいなもので、もちろん大事なことには変わりないし、彼の作品のセックスの描写も気合が入っている。だけどそれ以上にこの作品ではカップルの空気感とか、感情の移り変わりに重きを置いているのではないだろうか。

「子持ちの女子高生」「彼氏の髪を切る女の子」「学校をサボる生徒会長」「大会を終えて気が抜けた野球部員を彼氏に持つ子」など、言いすぎかもしれないけど、セックスを描かなくてもその続きが気になってしまうようなカップルばかりが登場する。そしてベッドの上以外の背景の描写がやたら細かい。

デビュー1作目とは思えないきめ細やかな仕事に感心していたら「ラブライブ!」のコミカライズを担当することに。ラブライブ、まったく知らないけどチェックしなくちゃいけないのかな……。

1億円印税作家として名高い鳴子ハナハル(復活早よ!)以来のスター成年マンガ家の誕生だと思う。