まだなんとか覚えていること

また恐ろしいほどの時の早さで9月が終わろうとしていて、その間に何があったのかすでに忘却の彼方というか、まるっきり覚えていない。それなのに書く能力はどんどん衰えるばかりで、生きることの理不尽さを痛感する。まあさっさとブログ書けよ!誰が読んでるわけじゃないけど俺のために書けよ!という話なので、今は少し余裕があるので書くわけで。

 

秋本治こちら葛飾区亀有公園前派出所
週刊少年ジャンプ 2016年10月3日号 42号

週刊少年ジャンプ 2016年10月3日号 42号

 

本当に終わってしまった。まさか東京オリンピックより先にこち亀が終わるなんて、まさか「トリコ」や「銀魂」より先にこち亀が終わるなんて、夢にも思わなかった。単行本を買っている熱心なファンは予想していたらしいのだが、150巻あたりでやめてしまった不信者が気づくはずもなく(その上売り払った)、いまさら秋本先生のありがたさに気づく始末。

とはいえ連載を40周年も続け、おまけに現時点で4本の読切と来年の新連載を控えていることを考えると、前向きな連載終了だったことは明白でそこは安心したというか、秋本先生=両さん説をさらに裏付けるものになったのではないか。

ドラえもんクレヨンしんちゃんの道を辿ることもできただろうし、そうなるとばかり思っていたし、個人的にその希望はまだ捨てていないけど、秋本先生がその腹を括る前の最後の挑戦に出ようとしていることを考えると、これはもう見守る他にない。

それにしても両さんにどれだけ救われてきたのか、失って初めて分かる親と両さんのありがたさ。もちろんコミックスを開けばいつでも会える。でもジャンプを開いて会えないのはやっぱり寂しい。寂しいよ、両さん。でも俺も頑張るからさ。

 

MUSIC STATION ウルトラFES

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もう10日近く経ってしまったけど、今年もウルトラFESを観た。録画はしてあるけど、実際に当日時間があるときにテレビを付けていた感じで、良かったのはPUFFY平井堅、尾崎裕哉、松本孝弘福山雅治あたりで、個人的なベストアクトは三代目J SOUL BROTHERS。単純にJ-POPの最新型として一番の熱量を誇っていて、twitterのタイムラインではイエモンが話題になっていたけど、相手にならないよなーっていうのが個人的な感想。

もちろん番組を観ていた本当の目的は宇多田ヒカル(と浜崎あゆみ)だったわけだけど、タモリとの会談はともかく、歌自体は相変わらずの完成度の低さ。「桜流し」ををカラオケで歌い切る姿勢は流石と言うか、ストリングスを呼んだところで「ストリングスがそこにいる」以上の意味が無いことを考えると圧倒的に正しいのだが、それでも録画放送とはいえ生放送以上に緊張した姿を公共の電波に流すのは本当に偉かった。彼女はきっと恥をかきに来たのだと思う。そしてそれに成功した。すばらしかった。

浜崎あゆみは自分のTLで最も賛否が分かれていた。個人的には良くなかったし、相変わらず暴走しているように見えたけど、まあそれが平常運転のような気もする。

個人的にはサカナクションONE OK ROCK、あと叶うならアジカンRADWIMPSceroも出て欲しい。Mステを観ているとJ-POPとは相変わらずテレビの枠組みなのだと痛感する。そしてテレビにそれを更新する体力はもう残されていないことも。

 

また3000字のコラムを書きました。そのうち載ります。よかったら読んでやってください。

 

ここ数ヶ月の覚えていること

本調子にならないまま2016年は8ヶ月も消化し、「SMAP解散」「こち亀終了」という天皇の生前退位以前に平成が終わろうとしている。「一体何があったんだ?」そういう考察ができなくもないけど、おそらくは偶然重なったに過ぎず、遅かれ早かれ平成というタームが終わりを告げつつあることは、生前退位以前に天皇陛下の年齢を察すればわかっていたわけで、だからといって次のタームがはじまるわけでもなく、ただただ夏が終わり、僕らの日常も続いていくといういつも通り怠惰な2016年9月。

いつの間にか冬が終わり、春が過ぎ、夏が終わっていた。何が起こっていたのかはテキストファイル形式で残されたメモを見ないとまったく思い出せない。先日観た『君の名は。』は神の意志に基づく忘却についての映画だったが、神の有無に関わらず僕らはあらゆる事柄を忘れる。物事は理由なく始まり終わる。そして意味もなく忘れさられる。だからブログを書いておいたほうがいいよまじで。

 

きのこ帝国「夏の影」

きのこ帝国の新曲「夏の影」がとても良かった。フィッシュマンズ、もしくはUAの「Love scene」に近いアレンジなのだが、歌はいつもの佐藤千亜妃そのままで、後半シューゲイザー的なノイズが重なるのがおもしろい。真夜中に聴いていたら、歌詞は他愛無い愛の歌であるにもかかわらず、「あ、まだ俺大丈夫かも」「生きてていいかも」とかふと思ってしまった。最後の大げさなサビの展開に救われる。チャイさんが野音良かったと書いていたけど、そろそろライブ観たい。

 

8/12,13 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016

もう半月以上経ってしまったけど、例年の如く参加。相も変わらず地上の楽園のごとくクソ楽しかった。あまり文章化する意味を感じないほど、ごく真っ当に楽しかった。例えるなら近所の盆踊りについていちいち位置づけをしても意味のない感じだろうか。細かい突っ込みどころはあったけど、まー終わってしまえばどうでも良くなる。「ライジングにおいでよ」と気安く言えるわけでもない。道民以外にとって交通費は馬鹿にならない。でも一度はライジングにおいでよ。楽しいよ。

 

庵野秀明樋口真嗣シン・ゴジラ

新海誠君の名は。

いやーこの夏は映画が楽しい!とかいいつつまだこの2本しか観てないんだけど(時期外れのは観たけど)……。でも『シン・ゴジラ』も『君の名は。』もほんと5年とか10年に1本クラスの大傑作。あまりこういうふうに書く人は見かけないんだけど、『シン・ゴジラ』は市川崑の『犬神家の一族』や伊丹十三の『マルサの女』くらいおもしろい。『君の名は。』は宮﨑駿の『天空の城ラピュタ』くらいおもしろい。そんなことってありえる?音楽シーンが大豊作とか巷で言われていて正直あまり実感ないけど、邦画に関してはシーン全体がどうこうかは別として大傑作が2本も出ちゃった。2016年いいね。

この余波を受けて『君の名は。』の方はサントラまで買ってしまったほど。RADWIMPSがいつのまにか垢抜けてバンプみたいになってた。10代が好きそうなボーカル曲もいいけど(20代かも)、インストの出来がかなり良い。

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

 

柴崎ショージ『とくべつな毎日』

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柴崎ショージの『とくべつな毎日』を読んだ。

そこそこエロマンガを読む人なら誰もが御存知の通り、茜新社からは「COMIC LO」という絶大な支持を誇るエロマンガ誌がある。名前の通り、ロリータ、つまり女子小学生や中学生を題材とした作品が並ぶ雑誌だ。もうこの時点で受け付けない人もいるだろうし、個人的にもそれほど好きでもないのだが(年上好きだし)、表紙に裸体等が描かれることはなく、ごく当たり前の少女の日常が描かれていて(川遊びとか学校の運動会とか)、一見するとエロマンガ誌だとは思えない。また雑誌の至る所には児童ポルノに対する注意があり、明確に虚構と現実の一線は画すように作られている。そのためウィットに溢れた雑誌として定評がある。

そしてその『COMIC LO』にはそこから派生した『COMIC 高』と言う女子高生を中心に扱った派生雑誌が存在する。そして柴崎ショージはその雑誌の中心的な書き手だ。

『COMIC 高』に掲載された7篇の短編が収録されていて、そのどれもがごくありきたりの、それこそ現実にもいるような(リア充と呼ばれるような)高校生カップルが登場する。エロマンガ的なアブノーマルな展開はない。純愛、と言うと清らかすぎるが、本当に素朴な高校生の日常が描かれているのだが、逆に言うとそれが雑誌に掲載され、単行本になってしまうほど画力が高いのだ。(それゆえに抜けないと巷では言われている)。

そのような作家に前例がいなかったわけではない(むしろたくさんいる)。ではなぜこの作家が優れているのかというと、これは推測だが、あまりエロシーンを切り札として使っていないからだと思う。極論かも知れないが、エロマンガにおけるセックスとは少年マンガにおけるアクションみたいなもので、もちろん大事なことには変わりないし、彼の作品のセックスの描写も気合が入っている。だけどそれ以上にこの作品ではカップルの空気感とか、感情の移り変わりに重きを置いているのではないだろうか。

「子持ちの女子高生」「彼氏の髪を切る女の子」「学校をサボる生徒会長」「大会を終えて気が抜けた野球部員を彼氏に持つ子」など、言いすぎかもしれないけど、セックスを描かなくてもその続きが気になってしまうようなカップルばかりが登場する。そしてベッドの上以外の背景の描写がやたら細かい。

デビュー1作目とは思えないきめ細やかな仕事に感心していたら「ラブライブ!」のコミカライズを担当することに。ラブライブ、まったく知らないけどチェックしなくちゃいけないのかな……。

1億円印税作家として名高い鳴子ハナハル(復活早よ!)以来のスター成年マンガ家の誕生だと思う。