2015 BEST SONG

たにみやんさんのブログを読んでたらベストソングもいい気がしてやってみることにした。ルールは「2015年にリリースされた曲」「YouTubeで視聴できる(公式)」での2つ。そのルールのおかげで除外することになった曲が山ほどあるというか、むしろ最近MVをみんな作らなくなったように思えたり。世知辛い話になりそうなので黙ってやります。

 

10. My Little Lover「ターミナル」 

小林武史が「究極のポップアルバムを作る」という目的を果たす上で選んだアーティストがYen Town BandでもSalyuでもなくMY LITTLE LOVERだったという事実に驚かされた。でもそれ以上に『evergreen』の1年後に出てもおかしくないような『re:evergreen』を2015年にリリースすることには本当に度肝を抜かれた。

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イーライ・ロス『グリーン・インフェルノ』

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まずはじめに、この作品はグロを含むホラー映画なのでその耐性がない人はキツい。というのも自分はグロがダメだから。ゾンビくらいなら平気だけど、「寄生獣」くらいからはしんどい感じ。血が流れるのは大丈夫だけど、食人はさすがにしんどかった。

グロ映像はともかく、映画としては様々なテーマが組み込まれている。少数民族が暮らす原生林における破壊活動に反対する大学生グループを中心に描かれているのだが、そんな彼らへの皮肉が効いている。日本だとSEALDsみたいな人たちがひどい目に遭うし、徐々に彼らの上っ面の建前が暴かれていく。いわゆる「意識の高い」と呼ばれる人たちの考え方が、どれほど浅はかで軽薄なものなのかを暴いている。確かにその辺は痛快だった。

ただ、この映画を作ったイーライ・ロスという人が、実際にそのような人たちの本性を暴こうと思って作られたのかというと、またそれも怪しいと思うのね。「環境活動家は上っ面だけだ!」「少数民族リスペクト!」みたいな気持ちが無いとは言えないけど、むしろその辺りのテーマはきっかけ程度で、基本的には浅ましい人間がひどい目にあうだけの映画を無邪気に作っていただけのように見えた。

食人族に捕らわれていきなり喰われる男、トイレも与えられずに脱糞する女の子、ストレスを減らすのために人前で自慰するリーダー、そして外交官の娘という立場を使われた主人公。そんな彼らを捕らえ食す食人族。全員が浅ましく、ほとんど共感できない。でもまあホラー映画とはそういうものなのかもしれない。

 

以下閲覧注意。

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ところで映画の聖地、立川シネマシティにおいて「ガールズ&パンツァー劇場版」でこの映画の予告編が流れることに苦情が出て取り下げられたことについて、twitterの映画好きの間で議論がかわされていたのだが、個人的には映画の予告編は避けようがないのでグロ映像は控えめでお願いしたいところです。本編は覚悟して臨むので制限無しで大丈夫です。

 

あと細かい部分だけど、特にひどい目に合うことはない、序盤に登場する主人公の友人がスカイ・フェレイラだった。彼女だけがこの映画の救いだったよ。 

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J・J・エイブラムス『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

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率直に書くと、普通におもしろかった。観ている最中は本当に楽しかったし、おそらく高校生の頃に観たであろう過去6作と同じくらいおもしろかったと思う。というのも自分はシリーズの熱狂的なファンではないので、他の作品と比べてどうとか言いようが無い。ただ、楽しかった印象はあって、今回の『フォースの覚醒』も以前の6作同様現実を忘れるくらい楽しかった。

ただ、今年観た映画の中で一番おもしろかったか?と言われるとそれはないし、好き嫌いで言うとどっちつかず。だからJ・J・エイブラムスが過去に手がけた「スター・トレック」に近いと思った。観ている最中はひたすら楽しいけれど何も残らない。でもそれが良いことなのか悪いことなのかが今ひとつ判断がつかない。映画館に行って楽しいだけの体験をする。一体それの何が悪いのだろう?

 

以下、多少ネタバレあり。

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細かい部分を見ていこう。まずは新主人公ことレイ。いきなり本筋から外れてしまうが、名前がレイなのである。何が言いたいのかというと、これは綾波レイから取ったのではないか!というのがあながち冗談に思えないほど「エヴァ新劇」に近いものを感じた。全体的にも「序」に近かった。もちろん性格は別なのだが、例えば彼女の横にいるフィン、あれはまさにシンジといえるのではないか!フィンはストーム・トルーパーの一員として帝国軍にいたが虐殺に耐えかねて脱走した。そんな時にレイと出会う。フィンのどうしようもなく情けないところが「エヴァ」のシンジ、さらには「ドラえもん」ののび太を彷彿させ、映画が終わる頃には心から愛おしいと思えてしまうのである。

肝心のレイもとても魅力的だった。砂漠で廃品を漁る様はまさに『風の谷』のナウシカだった(さっきは綾波レイと書いたけど)。そしてBB-8の可愛さときたら……、これはもう劇場で見てもらうしか。 

 

以下、そこそこのネタバレあり。

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そして旧三部作の主要キャラクターの帰還!レイが主人公なのは言われているとおりだが、クレジット上ではハリソン・フォードがトップということで、それはもう見応えある場面が山のように用意されていた。まさにハン・ソロ主役状態。同様にレイラも歳を重ねていたのだが、それがあまりに自然なことにに涙が流れる。チューバッカC3POR2-D2、懐かしい顔が揃えることで、いよいよスター・ウォーズがはじまったという思いが湧いてくる。

あと、多分再登場だろなー的なキャラが数組(4組くらい)出てきたけど、まったく覚えていないので旧作を見直すのが今から楽しみ。

 

以下、かなりのネタバレあり。

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そしてカイロ・レン。特別書く必要も感じないので伏せるが、悪役なのにどこか愛らしいキャラクターだった。そういう意味において、ダースベイダーに近いものを感じる。キャラ的にはダースベーダーに憧れる悪役ではあるのだけど、悪であっても絶対的でないところがどこか80年代っぽかった。

そんな彼がハン・ソロと対峙し、ライトセイバーを刺し、奈落の底へ突き落としてしまう場面が目玉なのだが、そこが本当にびっくりするくらいさっぱりしていた。現実感がなさすぎて逆に印象的だったほど。正直、ハン・ソロの死には実感がなかったし、エピソード9くらいで復活するんじゃないかな。

また、今回大活躍だったハン・ソロとは対極的に、おそらく次章エピソード8ではルークが登場すると思われるのだが(実際、最後に出たし)、このルークの存在感の薄さも本当に80年代的というか、例えばクリストファー・ノーランだったらもっと溜めたと思う。逆に言うとJJの演出は00年代以降の娯楽映画の流れに徹底的に抗おうとする意志さえ感じる。考えてみたら次作のライアン・ジョンソンは未知数だけど、エピソード9のコリン・トレボロウもそういう監督であるわけで。ただ、JJは引きは異常に上手で、エピソード7を観てて思ったのは、早く次が観たい!ということ。2年も待てるか!

 

あと細かいところで言うと、帝国軍がいまだにナチスとか北朝鮮のような独裁国家を想定していたのが古いと思う。ここはIS的なものを出してくると思っていたけど、もしかしたらカイロ・レンが化ける可能性はあるけどそこは期待薄。 

 

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というわけでまあ、JJの演出がサラッとしすぎて特に記憶に残らないという問題以外、若干のフォーマットの古さを感じつつも、基本的には楽しめた。超楽しかったというより、さっさと次を見せろよ!という感じ。ノーランも『ダークナイト』で化ける前に『バットマン・ビギンズ』があったわけだし、次作の監督ライアン・ジョンソンはどんどん作家性を出して欲しいところ。まあ少数派の意見だと思うが。とにかく今はBB-8のフィギュアが欲しいぞ!