2016 BEST SONG

今年も昨年同様、ベストソングを選んだ。ベストアルバムはほぼ決まっているけど、まだいろいろ弄っている。ベストソングはたにみやんさんのブログを見てやりたくなって真似したら去年も同じ理由でやってた。

毎年誰に頼まれるわけでもなく真剣に、あくまで個人の営為としてベストアルバムを選んでいるのだが、もしかしたら自分の音楽の楽しみ方としてはベストソングの方が合っているのかもしれない。相変わらずJ-POPが中心で、洋楽に対する劣等感が自分でも見て取れる。だから今回も「いやいや聴いてますよ?」といった感じで2曲だけ洋楽を挟んでいるのがバレバレ(いや、好きだけど)。

ただ、やはり日本語を用い、日本の文化圏内生きている人間でありながら「洋楽を中心とした音楽好き」でいることは、悪いとは思わないけど、残念ながら僕にとって馴染むスタイルではなかった。例えばケンドリック・ラマーの怒りとか、フランク・オーシャンの悲しみを字面以上の深さで理解することは僕には難しい。その悲しみを音として受け止めることはできる。でもJ-POP以上に爆発的に突き刺さるような体験は僕にとってはあまり多くないのが正直なところ。だから相変わらず音として聴いている。ある意味純粋に音楽を聴いているのかもしれない。

相変わらずジャズとヒップホップとの相性が悪くて、誰かが声高に「25年ぶりのポップミュージック豊作の1年」とか謳われても、「はあ、そうですか」としか言えないけど、でもこうやって振り返ってみると国内の音楽も結構楽しかった気がしてきた。つらかったけどね。身内に刺されたり。来年はもう少し楽しい一年にしたいよ。

 

10. RADWIMPS前前前世

 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

さすがに「あれだけ聴かされると……」と思いつつも、むしろ新海誠の発注だったからこそここまでポップに振り切れたのかな?と思ったり。アルバムは詰めが甘かったけどサントラはかなりよかった。

 

9. NOT WONK「This Ordinary」

THIS ORDINARY

THIS ORDINARY

 

Apple Music

凄い熱量。ゆえに期待する人たちの焦燥も理解できる。それにしても同じ道内在住の身として何を食えばここまでまっすぐな音を鳴らせるようになるのか。まだライブは観たことないんだけど、加藤修平はKOHH、SuchmosのYONCEと並ぶほどかっこいいと思う。

 

8. Bruno Mars「24K Magic」

24K MAGIC

24K MAGIC

 

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多分、見る人が見れば何も新しくないだろうけど、既存のものを用いてひたすらかっこいい(ダサい)MVを作り出した時点で大勝利だと思う。テイラーもそうだけど、俺もこういう腐るほど金の掛かったもの大好きなの。

 

7. サニーデイ・サービス「苺畑でつかまえて」

苺畑でつかまえて [Analog]

苺畑でつかまえて [Analog]

 

「いちご畑=Strawberry Field、捕まえて=キャッチャー・イン・ザ〜」の時点でイカれているのは間違いないと思うけど、お金のかけ方、レコーディング期間、完成度、制作状況、すべてのタカが外れてた。今思うと限りなくラストに近い清水裕美さんがここには映し出されているわけだけど、えーと、復帰待ってますので……。

 

6. BOOM BOOM SATELLITES「LAY YOUR HANDS ON ME」

 

LAY YOUR HANDS ON ME

LAY YOUR HANDS ON ME

 

Apple Music

ネットの片隅でワーストソングとして名指しされていたし、さすがに発表当時は複雑な事情からいくら何でもストレートすぎて好きになれなかった。つまりオルタナティブな存在として確固たる地位を気づいた彼らの最後の一手として、あまりの仕掛けのなさに戸惑ったのだ。でも時間が経ってわかるのは、これは彼らのあらゆる制約が解かれたこそ放たれた伸びやかなメロディーだということ。「死」というある意味コマーシャルな題材だから余計に評価された側面があった(ように見えた)が、今は時制や物語から解き放たれたただのメロディーとして心が震える、というのはいくらなんでも翻しすぎだろうか。ライジングのだだっ広い平原で爆音で泣きながら踊りたい。

 

5. きのこ帝国「夏の影」

愛のゆくえ(通常盤)

愛のゆくえ(通常盤)

 

Apple Music

ダブを引用するあたりにフィッシュマンズを思わせるのは誰もが指摘していることだけど、間奏以降にノイズに突入する手法そのものがオリジナルなのかは知らんが、彼らにドはまりしているのは発見以外の何物でもなかったのでは。

 

4. サカナクション「多分、風。」

 

多分、風。 (通常盤[CD])

多分、風。 (通常盤[CD])

 

Apple Music

僕らがフジロックに行くみたいに(※行ったこと無いけど)、言語も人種も違う人たちの前に立ち、いつもと同じようにライブをやって度肝を抜かせることができるのは、今だとPerfumeサカナクションくらいではないか。サマソニでレディへの前座を務めたのは文脈に頼らない強靭さを身に付けた証。80sリバイバルとか言ってたけど、ここには感傷は少しもなかった。

 

3. 宇多田ヒカル「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎

Fantôme

Fantôme

 

HEART STATION』の頃は打ち込みの要素が強くてあまり想像しなかったけど、考えたら彼女は最も贅沢な音を贅沢に作り上げるアーティストだった。「俺の彼女」「花束を君に」「真夏の通り雨」「ともだち」どれも年間ベスト級に好きだけど、今回は椎名林檎史上最も柔らかく美しい声を引き出した「二時間だけのバカンス」ということで。こんなのが聴けるって2016年ってやっぱりとんでもなかった。

 

2. Radiohead「Daydreaming」

Apple Music 

A MOON SHAPED POOL

A MOON SHAPED POOL

 

曲単位で作り込んでくる意味において、やはりレディオヘッドに並ぶアーティストは、少なくても欧米圏にはいない(と思う)。肉体的な衰えの段階には差し掛かっているものの、だからこそ提示できるメロディーと音の重ね合わせは他とは一味も二味も違う。それにしても離婚が契機でこの歌が生まれたと仮定すると、元妻が急逝した今彼が見てる世界は……(心配)

 

1. 欅坂46「二人セゾン」

 

二人セゾン

二人セゾン

 

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欅坂46のコンセプトって一体何なのだろう?女子高生がモチーフなのは確かだけど、どこか近未来的というか、アニメ的、SF的だと思う。そして「サイレントマジョリティー」も「世界には愛しかない」もどこか政治的というか、フィクショナルな物語性を感じさせるものだった。ところがここにきてそれらのコンセプトを放棄し、まさかの《君はセゾン〜♪》を連呼する謎の展開に。ただ、なんとなく思うのは、秋元康は彼女たちを前にして世界を肯定したかったのかなーと。つまりこれは形を変えた「世界には愛しかない」だということ。今思うとやってることはAKBの「Beginner」と変わらない気もするけど、俺も年を取ったということなのでしょうか。抗えませんでした。

 

というわけでベストソング10曲でした。ちなみに選外は、ゲスの極み乙女。「両成敗でいいじゃない」、くるり琥珀色の街、上海蟹の朝」、AL「HAPPY BIRTHDAY」、星野源「恋」、Suchmos「MINT」、ASIAN KUNG-FU GENERATION「Re:Re: (2016)」、THE YELLOW MONKEY「砂の塔」、大森靖子「オリオン座」、L'Arc-en-Ciel「Don't Be Afraid」、鬼束ちひろ「good bye my love」、水曜日のカンパネラ「アラジン」あたり。

それにしても今のJ-POP(この呼び名は古いのかもしれない)にはPerfumeサカナクションSEKAI NO OWARIONE OK ROCKcero、蓮沼執太、KOHH、BABYMETAL、きのこ帝国、tofubeats水曜日のカンパネラSuchmos、NOT WONKがいるのか。国なんてどうでもいいけど、この世代がチャートという形で競り合うことができていないことは結構不幸なことかもしれない。そうそう、来年はきっと小沢健二もいるんだ。

 

まだなんとか覚えていること

また恐ろしいほどの時の早さで9月が終わろうとしていて、その間に何があったのかすでに忘却の彼方というか、まるっきり覚えていない。それなのに書く能力はどんどん衰えるばかりで、生きることの理不尽さを痛感する。まあさっさとブログ書けよ!誰が読んでるわけじゃないけど俺のために書けよ!という話なので、今は少し余裕があるので書くわけで。

 

秋本治こちら葛飾区亀有公園前派出所
週刊少年ジャンプ 2016年10月3日号 42号

週刊少年ジャンプ 2016年10月3日号 42号

 

本当に終わってしまった。まさか東京オリンピックより先にこち亀が終わるなんて、まさか「トリコ」や「銀魂」より先にこち亀が終わるなんて、夢にも思わなかった。単行本を買っている熱心なファンは予想していたらしいのだが、150巻あたりでやめてしまった不信者が気づくはずもなく(その上売り払った)、いまさら秋本先生のありがたさに気づく始末。

とはいえ連載を40周年も続け、おまけに現時点で4本の読切と来年の新連載を控えていることを考えると、前向きな連載終了だったことは明白でそこは安心したというか、秋本先生=両さん説をさらに裏付けるものになったのではないか。

ドラえもんクレヨンしんちゃんの道を辿ることもできただろうし、そうなるとばかり思っていたし、個人的にその希望はまだ捨てていないけど、秋本先生がその腹を括る前の最後の挑戦に出ようとしていることを考えると、これはもう見守る他にない。

それにしても両さんにどれだけ救われてきたのか、失って初めて分かる親と両さんのありがたさ。もちろんコミックスを開けばいつでも会える。でもジャンプを開いて会えないのはやっぱり寂しい。寂しいよ、両さん。でも俺も頑張るからさ。

 

MUSIC STATION ウルトラFES

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もう10日近く経ってしまったけど、今年もウルトラFESを観た。録画はしてあるけど、実際に当日時間があるときにテレビを付けていた感じで、良かったのはPUFFY平井堅、尾崎裕哉、松本孝弘福山雅治あたりで、個人的なベストアクトは三代目J SOUL BROTHERS。単純にJ-POPの最新型として一番の熱量を誇っていて、twitterのタイムラインではイエモンが話題になっていたけど、相手にならないよなーっていうのが個人的な感想。

もちろん番組を観ていた本当の目的は宇多田ヒカル(と浜崎あゆみ)だったわけだけど、タモリとの会談はともかく、歌自体は相変わらずの完成度の低さ。「桜流し」ををカラオケで歌い切る姿勢は流石と言うか、ストリングスを呼んだところで「ストリングスがそこにいる」以上の意味が無いことを考えると圧倒的に正しいのだが、それでも録画放送とはいえ生放送以上に緊張した姿を公共の電波に流すのは本当に偉かった。彼女はきっと恥をかきに来たのだと思う。そしてそれに成功した。すばらしかった。

浜崎あゆみは自分のTLで最も賛否が分かれていた。個人的には良くなかったし、相変わらず暴走しているように見えたけど、まあそれが平常運転のような気もする。

個人的にはサカナクションONE OK ROCK、あと叶うならアジカンRADWIMPSceroも出て欲しい。Mステを観ているとJ-POPとは相変わらずテレビの枠組みなのだと痛感する。そしてテレビにそれを更新する体力はもう残されていないことも。

 

また3000字のコラムを書きました。そのうち載ります。よかったら読んでやってください。

 

ここ数ヶ月の覚えていること

本調子にならないまま2016年は8ヶ月も消化し、「SMAP解散」「こち亀終了」という天皇の生前退位以前に平成が終わろうとしている。「一体何があったんだ?」そういう考察ができなくもないけど、おそらくは偶然重なったに過ぎず、遅かれ早かれ平成というタームが終わりを告げつつあることは、生前退位以前に天皇陛下の年齢を察すればわかっていたわけで、だからといって次のタームがはじまるわけでもなく、ただただ夏が終わり、僕らの日常も続いていくといういつも通り怠惰な2016年9月。

いつの間にか冬が終わり、春が過ぎ、夏が終わっていた。何が起こっていたのかはテキストファイル形式で残されたメモを見ないとまったく思い出せない。先日観た『君の名は。』は神の意志に基づく忘却についての映画だったが、神の有無に関わらず僕らはあらゆる事柄を忘れる。物事は理由なく始まり終わる。そして意味もなく忘れさられる。だからブログを書いておいたほうがいいよまじで。

 

きのこ帝国「夏の影」

きのこ帝国の新曲「夏の影」がとても良かった。フィッシュマンズ、もしくはUAの「Love scene」に近いアレンジなのだが、歌はいつもの佐藤千亜妃そのままで、後半シューゲイザー的なノイズが重なるのがおもしろい。真夜中に聴いていたら、歌詞は他愛無い愛の歌であるにもかかわらず、「あ、まだ俺大丈夫かも」「生きてていいかも」とかふと思ってしまった。最後の大げさなサビの展開に救われる。チャイさんが野音良かったと書いていたけど、そろそろライブ観たい。

 

8/12,13 RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016

もう半月以上経ってしまったけど、例年の如く参加。相も変わらず地上の楽園のごとくクソ楽しかった。あまり文章化する意味を感じないほど、ごく真っ当に楽しかった。例えるなら近所の盆踊りについていちいち位置づけをしても意味のない感じだろうか。細かい突っ込みどころはあったけど、まー終わってしまえばどうでも良くなる。「ライジングにおいでよ」と気安く言えるわけでもない。道民以外にとって交通費は馬鹿にならない。でも一度はライジングにおいでよ。楽しいよ。

 

庵野秀明樋口真嗣シン・ゴジラ

新海誠君の名は。

いやーこの夏は映画が楽しい!とかいいつつまだこの2本しか観てないんだけど(時期外れのは観たけど)……。でも『シン・ゴジラ』も『君の名は。』もほんと5年とか10年に1本クラスの大傑作。あまりこういうふうに書く人は見かけないんだけど、『シン・ゴジラ』は市川崑の『犬神家の一族』や伊丹十三の『マルサの女』くらいおもしろい。『君の名は。』は宮﨑駿の『天空の城ラピュタ』くらいおもしろい。そんなことってありえる?音楽シーンが大豊作とか巷で言われていて正直あまり実感ないけど、邦画に関してはシーン全体がどうこうかは別として大傑作が2本も出ちゃった。2016年いいね。

この余波を受けて『君の名は。』の方はサントラまで買ってしまったほど。RADWIMPSがいつのまにか垢抜けてバンプみたいになってた。10代が好きそうなボーカル曲もいいけど(20代かも)、インストの出来がかなり良い。

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)