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カンパニー松尾『完全版 BiSキャノンボール2014』

「完全版 BiSキャノンボール2014」を観た。

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説明が少しややこしいのだが、本作はアイドルグループBiSの解散ドキュメンタリーである。ただし、彼女たちのマネージャー・渡辺淳之介は、何をあろうことかAV監督カンパニー松尾が率いる「テレクラキャノンボール」の面々を呼び込んでしまった。そのため「BiSの解散ドキュメント」「テレクラキャノンボール」という2つの要素が合わさっているのである。

元々はスペースシャワーTVの1時間番組として制作され、好評を得て2時間の劇場版が公開。そのスマッシュヒットを受けて5時間を超える完全版が制作されたのだが、元々はこちらこそが本来作られるべき映像作品だったのだろう。

 

肝心の内容だが、めちゃくちゃおもしろかった。BiSの姿勢や精神性といったものは色濃く映し出されていたと思う。BiSのことを詳しくない自分にとっては「BiSに関わる人はみんなが巻き込まれてしまう」「BiSはアイドルの様々なルール破りを実行してきたが実は普通の女の子」といったことがきちんと提示できていたと思う。彼女たちがどういう立ち位置で、どうやってアイドル戦国時代を勝ち上がってきたのか。どのようにして敗れたのか。それらがきちんと描かれていた。

BiSメンバーは、監督のさじ加減ひとつでそれはもうひどい目に合うのだが、その無理難題さえ、明らかに彼女たちを描くための装置として機能していた。監督陣のやり口を擁護するわけではないのだが、やはりビーバップ・みのる、梁井一、嵐山みちるの3人のやり口がひどかった。でもだからこそ映し出すことができたのだろう。逆に松尾、山下、今田の3人が今回わりと静かに撮影しているのは、対象がそういう性格だったからだ。そのことがこの完全版を見ていると少しずつわかってくる。

またドキュメンタリーと称して「BiSでキャノンボールをしている」ことが後々バレるのだが、それさえもおそらく想定内だったように見えた。めんどくさい仕掛けをぶつけることでBiSは成長してきたのだが、最後の最後までいらない仕掛けをぶつけられることになる。解散の時までうまくいかない。でもそのことさえBiSというグループの本質のように見えた。

 

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また「テレクラキャノンボール」の新作としても良かった。順位等についてはネタバレ禁止なので控えるが、テレキャノ2013とはまた違った展開を見せる。メンバーは同じ。でも確実に「テレキャノ2013」の影響を受けている。みんなのガチ具合が凄かった。

「テレクラキャノンボール」の大きな特徴として参加者がことごとく負けていくことがあるのだが、今作も監督が残らず負けていた。目標に対して自分を捨てれるかどうか、BiSの面々と打ち解けることができるか、そして他の監督よりもすごい映像を収めることができるか。元々の戦いだけではなく、己のプライド同士がぶつかり合うものになり、次第には「試合に買ったけど自分に負けた」みたいな状態になる。

今回はアノ人が優勝だった。しかし彼は本当に勝ったと言えるのか?その辺を判断するのもこの完全版の楽しみだよね。

 

さらに言うと、BiSメンバーまでもが負けていく姿も描かれている。というか、彼女たちの労働条件は過酷そのもので、訴えれば勝てそうなほど給与体系がひどい。本筋終了後の「New Season」というチャプターでは渡辺もそれを認め、「次はきちんとした給料を出す」ということを話しているのだが、その時点でもかなりひどい認識だった(具体的に言うと次にプロデュースするBiSHに彼は給料を出していない。その理由は「稼いでいないから」)。メンバーこそ「アイドルはちやほやされるから楽しい」と話すが、自身の貯金を取り崩しながら活動を続けるのがアイドルの実情なのだろう。BiS終了後にすぐにできるアルバイトを探しているメンバーがいるのも衝撃だった。

 

あと、そういう真面目な部分とは違ったところで、監督陣のアホさ加減とか、BiSメンバーの楽しそうな姿、ご飯、寝顔、水着、寝起き、LINEといったところで垣間見える彼女たちの素顔がとても楽しかった。僕はメンバーの中でプー・ルイが本当に素敵だと思った。この中で誰が好きか?という古典的な遊びがBiSメンバー、男軍団という二つのカテゴリで楽しめるのでそちらもぜひ。